さむぶろぐ

ルービックキューブが好きな社会人が日常生活、たまにキューブについての記事を書くブログ

2022/12

大会の様子はここのtogetterでも確認できます。見ましょう。


8月9日(火)

行きの飛行機の経路はこちら。
 
成田-仁川(韓国)
仁川-アルマトイ(カザフスタン)
アルマトイ-ヌルスルタン(カザフスタン)

※ちなみにアルマトイからヌルスルタンは東京から札幌ぐらいあります。

 
野上親子の飛行機(僕とコンタクト取る前から買ってた)と僕が取得していた飛行機が偶然ほぼ同じ便で、アルマトイまでの便が完全に同じでした。

↓行き帰りのスケジュール表。準備万端。
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↓たかとらファンの皆様お待たせいたしました。
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一回目の乗り継ぎ空港、ソウルの仁川国際空港に到着。 機内食初めて食べた…結構うまかった。



「人生初海外がカザフスタンなんですよ〜」という話が僕の帰国後のエピソードトークの鉄板となっているのですが、ここの部分で「なら初海外韓国じゃんw」と言ってくる人は殴り倒すことにしています。

空港内の韓国語は全く分かりませんが、初めて日本の外に出た感想としては「まあこんなもんか」という感じでした。仁川国際空港は非常に大きく綺麗で、日本から出た感覚が薄かったのも理由にあるのかも知れません。






淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。
決壊し、解放され、走り出す。
澱みの中で蓄えた力が爆発して、全てが動き出す! 

 


この3年間、淀みの中で蓄え続けた力を爆発させるために!宇宙よりも遠い、日本から何千キロも離れた遠いところまで。
そこに何があるかなんて分からない。何も無いかも知れない。でも行くんだ。ここじゃないどこかへ!

たかとらの横の座席で一緒に号泣しながらカザフスタンへ。

↓気分は完全にこんな感じ
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カザフスタンのアルマトイ空港到着時に完全に空気が変わったことを感じました。

明らかに他の乗客の顔つきが西洋的になっている。
 
空港の文字がキリル文字だらけで何も分からない。

分かってはいましたがここからは非常にハードモードになりそうだと感じた瞬間でした。

8時間の待ち時間があるのでその間に空港のベンチで仮眠を取ります。今思えばこれを高校生と母親の二人でやろうとしてたのすごいな。




↑日本で言うところのpeachみたいなやつです。



8月10日(水)7:30  (日本時間10:30)


成田から合計22時間かけて…
ヌルスルタン

うわヌルスルタンだ!!!(この写真だとヌルスルタンかどうかよく分からない)


さて、カザフスタン共和国の首都、ヌルスルタンについてみんなで勉強しましょう。
 
「ヌルスルタン・ナザルバエフ」とは、1991年のカザフスタン独立から2019年までカザフスタンの初代大統領を務めた人物です。
2019年についに大統領を退任(ただし、「国家指導者」という憲法上の地位は維持し、国家安全保障会議の終身議長となる)。そして、議会は首都名をアスタナからヌルスルタンに変更する法案を全会一致で可決しました。

独裁主権のように見えますが別に理不尽な政策を行っていたというわけでもないです。(実際、大統領在任中の2008年に議会が首都名をヌルスルタンに変更する法案を出しましたが、ナザルバエフ本人が辞退しています。)




タクシーに乗ってヌルスルタンの中心部に向かい、Mega Silkwayというクソデカショッピングモールを散策していると大事件発生。


ガチサイレンみたいなのも鳴ってるし、警備員は全然英語話せないし、どうなってるんだこれは。
らいひーがトイレに行ってる間に無理やり追い出されたから一旦分裂することになったし、アジア大会不戦敗の危機。

と思ったら避難訓練だったみたい。建物の周囲に警備員が合計100人ぐらい並んでたんだけどそんなガチでやる…?これが旧ソ連国クオリティなのか?(違います)


そんなこんなでヌルスルタン最高級ホテル、Hilton Astanaに到着。

↓フロントが完全に吹き抜け。土地が余ってないとできない芸当だ…
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↓Sum,たかとら,らいひーは三人相部屋。奥のでっかい球体は…?

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ホテルから徒歩1分のところに会場があるので下見に行きました。
Kazakhstan Speedcubing Federation(日本で言うSCJみたいな団体)が主催しているみたいですね。配信環境もしっかりしてるし、大会を盛り上げようという意欲を感じますね。

↓でかい!さすが元は定員700人の大会!
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↓位置関係はこんな感じ。あの球体は「The Sphere」って言うらしい。そのままやん。
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8月11日(木)




運命のアジア大会が始まりました。
初日の配信リンクはこちら

本日の種目はFMC、4BLD、5BLD、MBLD、6×6、7×7です。
FMCの試技を行っている碧くんを一人放り出して三人で昼食へ。向かった先は…
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すしだすしだ!!!!!!!
 
中にクリームチーズが入っていたり、ワサビが生クリーム絞るやつみたいな出され方しているけど間違いなく寿司だ。まさかカザフスタンで海苔巻きを食べられるとは…

※海苔は日本人しか消化できないと思っていたんですが、それは生海苔の話みたいですね。焼き海苔は外国人でも消化できるらしい。

問題の味ですが、醤油の味が世界一薄かったので全然物足りなかったです。まあ仕方ないね。
あと生魚も入っていなかったです。超内陸国だからこれも仕方ないね。






さーて寿司モドキも食ったし、アジア大会デビュー戦の7予選行ってきますか!
7単発はまっしゅに負けているので特に更新したいところ。その結果は…

7予選 3:44.36 3:27.84 3:44.44 = 平均3:38.88(更新ならず)

直前でネジを緩めたMGC7がずっと暴れ馬状態でどうにもなりませんでした。決勝ではもっと軽く回さなくては…

そしてこのタイムでも決勝進出。
アジア大会の決勝ってこんな楽に行けるもんだっけ?(そんなことはありません)





幸先の悪いスタートを切ってしまいましたが6予選いきましょう。唸れ俺のMGC6。

 
6予選 2:22.03 2:07.96 2:08.81 = 2:12.93(2:19.91から更新)

まあこれは元の記録が酷すぎたのでね…これで当然の決勝進出。


何故か順番が入れ替わって決勝は6からです。唸れ俺のMGC6。

6決勝 2:22.11 2:14.58 2:10.42 =
2:15.70(更新ならず) 全体9位(アジア7位)

遅い。遅すぎる。前日は普通にSub2分とか出てたのに…
入賞は無理でも2:05ぐらいは出すつもりだったのになあ…
 



 
悲しんでいる暇も無く7決勝。唸れ俺のMGC7(さっきよりちょっとネジ締めた)。

7決勝 3:11.52(3:23.47から更新) 3:17.40 3:22.83 = 3:17.25(3:29.61から更新)  全体7位(アジア6位)

うーん、Subまっしゅしたし平均だけSub中島さんしたし、こんなもんかー。
最終試技にPOPしちゃったのがもったいない。

初日はクソデカショッピングモールでファストフードみたいなの適当に食べてホテルに帰還。



8月12日(金)

昨日から微妙に悪いと思っていた体調が明らかに悪くなっていたアジア大会二日目開始です!
二日目と三日目の配信リンクが何故か見つかりませんでした。(なんで??)

本日の開催種目はメガ、少分割などです。僕はお休みの日ですがヒルトンの朝食食べて元気に行きましょう!


この時僕は右肩の関節が信じられないほど痛いのを隠しつつ、猛烈な量の咳をしていました。
向かいで食べていたらいひーとたかとらはそんな様子の僕を見ながらとても微妙な顔をしていました。ごめんね。特にたかとらごめんね…

今までずっと右肩から掛けていた鞄を今日から左に掛け替えて会場に向かい、クロックの予選に出場します。その結果は…


17.19  DNF  (カットオフ)


なにやってんの?とは言いつつ一夜漬けだから仕方なかったんだ…
(カザフスタンに来てから仕方ないしか言っていない)


誰にも気付かれずにピラで爆死した後、あまりの寒気と関節の痛さにより午後はホテルに戻って寝ていました。
「ちょっと疲れたからホテルで寝とくわ〜」と誤魔化した時らいひー、たかとらの顔が忘れられない。ごめんね…

起きた時にはらいひーがNR出してアジアチャンピオンになっていました。おめでとうございます(薄)。

この日もクソデカショッピングモールに行き、肉食って帰宅
。明日は体調マシになってますように。





8月13日(土)

風雲急を告げるアジア大会三日目。
さあ、相変わらず体調が微妙でござる。やべえ…


本日の参加種目は3と4と5の一回戦です。適当にやっても大丈夫とはいえ、ちゃんと競技の雰囲気に慣れておかないと。
NRも上げたいし。さあ行こう!

3一回戦 平均10.86
4一回戦 平均34.37   (アジア2位相当)
5一回戦 平均1:02.75  (アジア2位相当)
(更新ゼロ)




…まあ別に全部次に進めるから良いんだけどさあ…


そしてこの日のピラ決勝でたかとらがアジア3位入賞!!勝負強い!!


最後の最後に5.5が爆発して終わったと思ったら3位に滑り込んでる〜〜〜



三日目が終わってホテルに戻ってからツイキャスを2時間やってますね。浮かれてるな〜


https://twitcasting.tv/takatora_cube/movie/741771807
この回の3:10ぐらいで僕が「これで4の銅だけだったら目も当てられない」とか予言しててウケる。

https://twitcasting.tv/takatora_cube/movie/741776493
コンティニューコインで1.5hになってる回
碧くんが9×9をソルブしたりルームサービス食べたりしてる。
僕が「メガSub120したことない〜」とか言ってる。懐かしい。





8月14日(日)


全ての決着がつくアジア大会最終日。
最終日の配信リンクはこちら

本日の種目は3準決勝、4準決勝&決勝、5準決勝&決勝。アジア大会今日だけで良かった。

朝1の5×5準決勝はいろいろ爆死して平均1:08だったけどまあ危なげなく決勝進出(それはそう)。
朝9時だから仕方ないね(また仕方ないって言ってる)。


続いて4×4準決勝。その結果は…




平均34.51(アジア4位相当)


え、やばくね? 碧くんに負けてるやん。

 

 
落ち着け、決勝で勝てばええんや決勝で。OPだらけだったし決勝は大丈夫大丈夫。

大丈夫…大丈夫…        肩の関節熱すぎる…





次は僕の3のファイナルラウンド、準決勝行ってきますよ。


 
1st  10.63
Aperm遅いけどまあいつも通りだし、 これでも公式平均より速いんだから全然問題無し(問題はある)。

2nd  8.81 
OLLskipなのにNaが下手すぎてSingle更新失敗。クソザコ。

3rd 10.31
またクソザコApermをさらすことになってしまったが今のところ何故か調子が良いな。

4th 9.41
これはなかなか良かったぞ。っていうか、これで10.12以下が確定。最後が10.26以下でSub10達成だ。

暗算が得意なもんでつい「10.26」の数字を出してしまった。
この数字を意識したせいで何度「だから先計算したらあかんとあれほど…」と後悔したことか。

そして最終試技。少し日本語が話せるジャッジに見守られつつ…


 
5th 10.04
Average 10.70→9.92

あ、Sub10だ。

え、


僕が?



Sub10?

やった、これでやっと3辞められる…

僕の胸に去来したのは、「これで3を辞められる」「これで公式平均10.0~10.6の人達相手に煽り散らせる」「10.7以降の人は引き続き煽り散らせる」「『3公式Sub10なのできちんと早起きをした』のようにSub10を雑に使ったネタツイがたくさんできる」など人間のクズのような感情ばかり。

この時の抱いた「自分が公式Sub10人間であるという実感の無さ」は、カザフスタンの空港に降り立った時の海外に来た感の無さに匹敵するものでした。(意味不明) 
まあとにかく現実感の無い一週間だったってことや。

これで3over10なのに4速いみたいなゴミカスアイデンティティから脱却できるぞ…!




さて、いい感じで 5決勝に行けることになったのでこれは期待できるな。

 
1st  1:06:42
いきなり地雷気味のタイムを残してしまってつらい。
 
2nd  59.66
大はしゃぎしてるところがカメラに抜かれて結構はずい。
 
3rd 1:01.75
4th 1:01.85
なんとか爆発せずに粘ってる。このまま耐えてくれ〜 
 



 
5th 1:09.93

Average 1:03.34  全体6位(アジア4位)

 

最終試技、エッジまあまあの速さで終わったかな?と下見たらいつの間にかDwズレてて終わった。
いや、63なら銅メダルに滑り込んでると思ったんですよ?でもなんかJiyi WangがPR出してて負けちゃった…

とりあえずでメダル取っておいた上で気楽に4決勝に臨む計画が台無しに。やばいやばい準決勝4位だったじゃん負けちゃうじゃん碧くんメダル取っちゃうじゃん未だに体調治りきってないし肩も痛いしっていうかそのせいで5も負けたのか(※実力負けです)どうしよう負けちゃうじゃん


…4決勝行ってきます…










1st   30.10
よし、NPとはいえ比較的上手く回せたぞ!これなら金取れる!


















2nd  34.26
3rd   36.54
4th   40.84
5th   38.24













何にも記憶が無い。
朦朧とした記憶で何となく覚えていたことは、OPを回し始めた時にタイマーをチラ見したらすでに30秒を超えていたということ。(それが何回もあったということ)

どんなバカでも簡単にできる計算。34 36 38 で平均は36秒。完全に終わった。だって準決勝は34秒でアジア4位相当だったんだから。碧くん何色のメダルかな。

「まあ5は優勝は無理でも銅は取れるでしょ」という状態からの4位転落という悪夢を経験した直後のこの惨状だったので、この時の絶望感は言葉で言い表せません。

全身の血の気が引いていく感覚、それはまるで10段のトランプタワーが完成間近で崩れ落ちていくような、数万個のドミノを並べるチャレンジの最後の一手で台無しになったような、死ぬほど勉強して模試の成績も抜群だったけど受験当日に風邪を引いて落ちたような、とにかく最低の気分。

決勝の僕を撮影してくれていたらいひーが「でも、他の人もあんまり速くなかったからワンチャンあると思いますよ」と励ましてくれたのに対してほんの一瞬だけ「適当な慰め言ってんじゃねえよ」と脳内でキレちゃったのめちゃくちゃ良くなかった。これがセリヌンティウスの気持ちか。


ここ(カザフスタン)まで来たんだよ!ここまで来て…
一個でも良い、僕がここにいたという証を!
 



 
平均 36.35   (全体5位 アジア3位)






ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜あっぶねえ心臓持たねええええええええええええええ
碧くんと他二人ぐらいがコケてて命からがらセーフ。感情ジェットコースターなるでこんなん…



この時Ronさん(WCAつくったひと)に握手してもらいました。いやギリギリすぎ。
調べたら8年前のアジア大会(2014年、日本)の3位のタイムより遅いやん。ウケる。






脳内で「アジアの有力選手がたくさん参加していた中、死闘を制して3位に滑り込んだ記憶」を捏造していたのも束の間、なんか3の決勝に進んでいたらしいんで行ってきま〜す(メダル&Sub10達成済みで全てどうでも良くなってる)

head to headのために携帯電話を没収されて別室待機。Twitterさせてくれ〜〜〜

しかし13位と14位だったため割と早めに出番となり、ステージに登場。そして13位の相手がたかとら。まさかの日本人のHead to headにTwitterのタイムラインも大盛り上がり(想像)。
これがまさか日本人○○(ネタバレ回避。みんな知ってるけど)Head to Headの伏線だったとは…




その後の僕の決勝のソルブ内容はまあお察しの通り。間違いなく準決勝でSub10した時が僕の大会全体で最も輝いていた瞬間と言える。




そして碧くんがNRを更新して見事アジア三冠達成。持ってる男やでえ…

色々あったけどあとは表彰式だけだ!
 



↓めちゃくちゃ浮かれてるなこいつ。
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この時にメダル持ってた女の子二人とチェキ撮ってました。
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あれ、そういえば僕、日本でも賞状持ち担当の女の子とチェキ撮ったような…
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銅メダルだった瞬間はかなり残念だったんですけどよく考えたら""アジア3位""って自分にとって過大すぎる肩書きだし、大満足すべきなんですよね。死ぬほど悔しいけど。

25歳社会人といういろいろと後に引けない年齢になっていたこと、カザフスタンでの開催、逆にカザフスタンに行けるだけの社会人の財力があったこと、
韓国選手がいなかったこと、そしてなによりコロナ禍真っ只中だったこと、この全ての要素が一つでも欠けていたら成し得なかった奇跡だったと思います。自分がAsian Podiumの器でないことは百も承知ですが、「初海外でカザフスタンに行く」という決断を実行に移せたこと、そのたった一つだけは誇っても良いんじゃないかなと思います。





さて、帰宅するまでがアジア大会なのですがそこで降りかかった大惨事とは!!!????

また一年後の第三弾ブログでお会いしましょう。さらば〜〜〜〜〜〜

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2022の25日目の記事です。24日目の記事はTRCさんの「Cube SEを開発した話」でした。便利そうですね。僕も社用PCに入れようかな。

このAdvent Calenderも10回目ですか。僕が最初に投稿したのが2016年なので歳を取ったものですね。
最終日にした理由はとりあえず締切を伸ばすためでした(怠惰)。
まだ前編しか書けていませんが(大罪)、良ければご覧下さい。




大学最終学年の2020年度、WCA Asian Championship 2020はマレーシアのクアラルンプールで開催予定でしたが新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。
僕はこのアジア大会に行くつもりが少しだけあったのですが、結局アジア大会には一度も行かないまま6年間の大学生活を終えることになりました。

そんなこんなで社会人生活が始まって1年少しの2022年5月23日、ある一大イベントの開催が告知されました。


それが、ルービックキューブアジア大会2022です。

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これ、最初「Rubik's」の部分はただのロゴだと思ってたんですけど、大会名にしっかり「Rubik's」が含まれてるんですよね。今までのアジア大会には付いていないのに。


(執筆時追記:さらに調べてみると今年開催されたEuropean Championshipも、North American Championshipにも、South American Championshipにも、African Championshipにも、Oceanic Championshipにも頭に「Rubik's」と付いている。今までの大会には全く付いていないのに。

数年前の WCA公式記録は「3×3×3 cube」じゃなく「Rubik's Cube」、「Clock」じゃなくて「Rubik's Clock」だったんですよ。でもレッドブルの大会の時にWCAが調子に乗ったせいでRubik'sを怒らせちゃって、この文字は使えなくなってたはずなんですが…重要なスポンサーとして復活したみたいですね。それともスポンサーとしては完全撤退してなかったのかな?WCAお金無いのかな?知らんけど)



カザフスタンでの開催が発表された時のタイムラインは「行かない」「誰が行くの?」という感じだったことを覚えています。僕も最初はそんな傍観者の一人で、カザフスタンに行く予定は全くありませんでした。


 申し込み開始から約二週間後、定員700人の内まだ20人ぐらいしか申し込んでいないWCAページを見に行ってある感情が浮かび上がってきました。

(4のレベルが低すぎないか…???) 



まず、本当にカザフスタンに行くことができるのか?どういうハードルがあるか書き出してみることから始めました。

・片道で飛行機三本を乗り継いで20時間前後かかる
そもそも行けるのか?と外務省を確認したところ、渡航は可能。飛行機はというと2019年にカザフスタン直行便が登場したのですが、2020年にコロナ禍が原因で無くなっていました… 2回乗り継ぎ…
 
・費用もすごい、飛行機代だけで二十数万円かかる
 
・そもそも自分は今まで海外に行ったことが無いし、カザフスタンの空港で寝たりする必要がある 初海外がカザフスタン…?
 
・おそらく日本人は数人しか行かないし、有名選手との絡みもほとんど生まれない
 
・普通に社会人として働いている(まだ二年目のぺーぺー)のに丸々一週間以上休みを取る必要がある
 
・っていうか思いっきりコロナ禍で、もしも向こうでコロナ陽性にでもなろうものならさらに滞在期間が延びる(まあ、そうそうドンピシャでコロナに感染するなんてことは無いと思うけど笑) 
8月当時、ワクチンを3回接種していなければ日本帰国後に1週間の自主隔離。さらにカザフスタン現地でPCR検査を受診し、陰性証明書を取得しなければなりません。陽性だった場合は帰れず、自主隔離を行って再度検査を受診し、陰性証明書を取得するまでこれの繰り返し…

行かない理由がこんなに出てくるアジア大会ある?
しかしこのアジア大会、行く理由も大きい。

・日本で二年以上開催されていない4,5,6,7が開催される、しかもそれぞれ3,3,2,2ROUND
 
・自分がアジアチャンピオンになれる可能性がある
 
・二度と行くことのない(断定)国に行くことができる
 
・なんかKorean Championshipが同一の日程で開催されるので、韓国の有力選手が来ない

これはもしや、覚悟を決めるタイミングが来たのかもしれない。やるのか?本当にやってしまうのか?いやカザフスタンだぞ?冷静になれよ?しかしここを逃したら決してAsian Podiumなど取れないぞ??
覚悟決めるかあ〜〜〜〜〜(ため息)

時間や金がかかること、日本人が全然いないことは自分の覚悟の問題でどうにでもなる。休みを取らなくては。 



「あの社長、カザフスタンで開催されるルービックキューブのアジア大会に行くので一週間休み取って良いですか?」

社長「え、良いよ。」




皆様も休みの取りやすい会社に就職できるように勉強しておきましょう。


ということで7月にパスポートを取得。3回目ワクチン接種と、市役所に申請を出してワクチン接種証明書の取得。外堀が埋まっていく…(自分で埋めている)

↓「カザフスタンに行く」と宣言することで外堀を埋める佐村健人さんの様子
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6月の頭から7月末まで毎日実施していたことがいくつかありましたので紹介します。 

①自分のメイン競技のサイクシートの確認
毎日五回は確認していました。早いタイミングで申し込んだら日本の他の速い人が申し込んでしまうかもしれないし、そもそも自分より圧倒的に速いアジア人が3人申し込んだ時点で大会には参加しないことも決めていました。
そういった状況で数時間に一回の頻度でページを更新しながら「あ〜今日も自分より速い人申し込んでない…」と安堵しつつ時を過ごす二か月間でした。 

②飛行機の確認
こちらも非常に重要な問題です。
日本からヌルスルタンへ飛ぶ飛行機は二回の乗り継ぎが必要です。(一回の乗り継ぎで行ける便もたまに存在しますが、ほとんど無い上にめちゃくちゃ高いです。)そもそも毎日あるとは限りません。ある日に出発すると決めてもその日に出る飛行機が無ければどうしようもありません。
しかも目を付けていた良さそうな便がどんどん値上がりしたり、予約が埋まってしまって表示されなくなるなどのもどかしい思いをしながら日々を過ごしていました。
先述の通り、速い人がたくさん申し込んだら僕は参加しない。
行かないかもしれない大会のために数十万円のリスクを背負うこともできないので予約することもできず、スカイスキャナーのサイトを睨みつけながら二か月間を過ごしました。

※碧くんは「多くのラウンドのある大会でいろんな種目の記録を残したい」というのが主目的だったので行くことは決定事項だったようですね。正しい価値観… 

③4×4の練習
OP後のOLL読み、新しいPP-PLL、4つ目のクロスエッジが遠い位置にあった場合の体系化、パーツが遠くに行きそうな時にセンターの揃え方を少し変えて近くに留まるようにする方法、インスペクションの強化、エッジのアンラッキーパターンの回避方法、セットアップの手数が減らせないかどうかの確認、エトセトラエトセトラ…

ソルブの課題を探すと出るわ出るわ、褒められる部分の方が少ないぐらいでした。

このあたりは実践的なソルブの中で育まれる技術が多いので回数をこなす練習に特化し、全てを意識しながら2ヶ月で7000ソルブぐらいやってました。 やりすぎ

このアジア大会は、初めて尽くしの中手探り状態で計画することが多く貴重な経験だったことはもちろん、日本国内で大会がいつ開催されるかも分からない状態で漫然と4を回していた当時の自分が久々に明確なキューブの目標を立てたきっかけにもなりました。 



2022/7/16(土)
池袋キューブオフに珍しく碧くんが来ていたので「僕もアジア大会行くよ〜 Nation's cupは二人だから出られないね〜」みたいな話をしてました。

そうこうしているうちに申し込み締切の7月24日はどんどん迫っていきます。その時点で参加申込者は100人ちょい。日本人はずっと碧くんのみ。自分より速い選手も少ない。そろそろ申し込み手続きするか〜と思っていたら…

締切が8月4日に延長されました。 足掻くなや…
それと、定員がしれっと700人から300人に減っていました。 足掻くなや 

(このタイミングでアジアの速い選手がドバっと申し込んだらどうすんねん…) そう思いながら雌伏の時を過ごすのでした。
↑この数か月間で申し込みしなかった選手がこの延長をきっかけにいきなり申し込むわけがない 

そんな時に僕が運営に送っていたメール↓
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今見返すとこいつ、「このアジア大会って本当に開催されますか?」ってかなり失礼なこと聞いてるな。



7月30日(土)

アジア大会開催前に日本国内で開催された大田大会。僕はこの大会の申し込みは失敗してしまったのですが、見学者として会場に行きました。そこで僕はたかとら親子の会話を偶然耳にします。
それによると、
 
た母「野上くんに聞いたんだけど、どうやらもう一人日本人(後ほど判明しますが、これは僕のことでした)が参加するらしいの。まだ申し込みが反映はされていないんだけどね」

僕「へ〜!そうなんですか!誰なんでしょう?(僕のことだとは知らないので本気で疑問に思っている)」
 

二週間前の池袋オフにより、野上親子は僕が参加することを知っています。ということは、僕以外にもう一人来るのか!?命知らずめ…(←碧くんに失礼) 

しかし話を聞いていると、どうやらたかとらのお母さんは僕の参加を知らないらしい。
え?ということは碧くんが僕の名前をぼやかして言っていただけ…ってコト?


僕「あ、そのもう一人の日本人って僕です」

た・た母「は?(おまえさっき「誰なんでしょう?」とか言ってただろうが)」


後にたかとらに「Sumさんにしてはつまらないボケするなあ、と思った」と言われた。ひどない?
完全にボケだと思われて全く信じてもらえないので、成田-ヌルスルタン往復の航空券(往復26万円)の画面を見せてやっと信じてもらいました。

実際の画面。所要時間頭おかしいな?↓
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た母「アジア大会の申し込みをためらってた理由、知ってる日本人選手が全然いないことだけだったのよね。Sumさんが行くのならそこの問題点は解決するし、行ってきなさいよ、お金は出すから」

僕「(大学生の息子をカザフスタンに送り込むことに積極的になる母親っているんだ…)」

た「ものすごくありがたい話ではあるんだけど、俺の母親はおかしい」

↓たかとらがたかとら母に送ったLINE
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そして8月1日、Twitterのスペースで参加表明をしたところ、あの男が動き出す…
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こいつ、帰国前にMySOSっていうアプリを入れとかないといけないことや、陰性証明書が必要なのは帰国時だけとか、重要なこと何一つ知らないままカザフスタン行こうとしている。覚悟決まり切ってるのか舐め腐ってるのか分からんな。

らいひー、1日のスペースを聞いて初めてアジア大会の存在を知ったらしい。メガのアジアチャンピオン確定演出なんですが。そうして一瞬で覚悟を決めた(?)らいひーは申し込みを完了し、8月4日に4人目の日本人の申し込みが完了しました。
碧くんと「2人しかいないから僕らNation's cupに参加できないね〜w」とか話していたのに何故か「4人になったから僕Nation's cupに参加できないね〜w」となっている。これはおかしい。まあ僕が一番遅いのが悪いのですが…

LINEグループも作って情報共有の準備も万端。
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8月9日(火)

前日までにできる限りの仕事を片付けた自分、前日まで大学の期末試験を受けていたたかとら、スーパーのバイトのシフトを代わってもらったらいひー、そして碧くんとお母さんの5人は成田空港にいた…

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↑この写真は碧くんのお母さんに撮影してもらったんですが、碧くんは「Y-perm回した状態だった〜直しておけば良かった〜」とか言ってました。

いざ、カザフスタンへ!









 

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