師走の候、皆様におかれましては、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。この一年、皆様は4と共に笑い、4と共に泣き、4と共に内部に磁石を搭載して過ごしておられたことと思います。
そんな私は去年のアドカレに「来年の目標はSub35」と書いておりましたが修練不足で達成できませんでした。お許しください。(たぶん3公式平均を1年2ヶ月更新していないことに理由があるのでしょう)
この記事はルービックキューブ Advent Calendar 2018 の21日目の記事として書かれたものです。明日の記事はRock menの超新星、masadl君のZBLLについての記事の予定です。
さて4のPLL。それは天国と地獄の分かれ道。いかに分析を行って上手いことセンターを揃えようともPPはそれを嘲笑うかのように現れる。我々は被害を最小限に食い止めるためにPP-PLLへの対策を講じなければならない!!!
(OP-OLLで精根尽き果てたのでこんなテンションじゃないと続ける気力が湧かない)
さて、 PP-PLLで大切なこと、それは何より手数の少なさと判断の早さ。「3に存在しないPLLだからとりあえずPP回しとこw」なーんてテンションでは速い人に大きく水をあけられてしまいます。
そんなPP存在PLLは単独PPを含めて22パターン。
大した数ではないのでこれを機に全て洗い直してみましょう。
それでは判断が簡単なのから行ってみよう!
まずは一応PP手順のおさらいから。
[PP1]: r2 U2 r2 Uw2 r2 Uw2 (最後AUFでU2する場合もある)(というか始めにコーナー揃っている場合はU2する)
[PP2]: Rw2 F2 U2 r2 U2 F2 Rw2(2019/8/15追記: 人差し指をハチに刺されて痛過ぎる時はこっちを使いましょう。こないだのCCKで初めて公式の4でこれ回した。)
[PP3]: Uw2 Rw2 U2 r2 U2 Rw2 Uw2
4の世界上位者でPP3を使ってるのはSebastian Weyerぐらいじゃないですかね?ちなみにr2を一回しか回さなくて良いので6のPPにはPP2と並んで重宝されます。
でも最近のFazやMaxは平気で6でPP1使ってますね…。なんで6層ある物体の2層だけを回すとかいう技巧をこなしてるくせに僕の4のr2より速いわけ?
で、PP1のr2は3のM2的に回す派(FazやMax)とRw'2 R2と回す派(スンヒョやBill Wang)が存在しています。やっぱりM2系は速い!でも安定しない。磁石が付いたとはいえまだまだかなりの人がRw2派です。
そんな前置きはこのくらいにして見分けの付きやすいのから行きましょう。
コーナー単独隣接交換です。これは基本的にT-perm U(U') [PP] の順番にしましょう。その大きな理由はAUFにあります。大抵の人はheadlightがL面に無ければT-permを回せません。つまり先にPPを回してしまうとそうして完成されたT-permは一方向からしか回せなくなります。ということは?最後のAUFでU2をしなければいけない場合が出現するのです。一方、PPはU2の位置からでも回すことができるので先にT-permを回して最後にPPを残すとAUFでU2する場合が無くなります。(間違えた場合は合計でU3とかU4回さないといけなくなるけどそんなのは僕の知ったことではない)
「どっちでも同じならPPを後に残せ」
この概念は後々にも出てくるので覚えておきましょう。
正面向きでPPを回してF-permを出していたという方、いないとは思いますが万が一いれば猛省してくださいね。
次は単独対角交換です。
これはF R U' R' U' R U R' F' U(U') [PP] U'(U) R U R' U' R' F R F'です。
Y-perm前半OLLして、縦向きにしてPP、戻して後半OLL、要はY-permにPPを挟み込む形になっています。
ちなみに[PP] Na-permとかいうなんの捻りもない手順を使っているトップ選手もいます。まあFeliks Zemdegsって言うんですけど。悪夢のように速い。最初に紹介した方は意外とAUFめんどくさかったりする事もあるのでものすごく大きな差が出るというわけでもなさそうです。
続いてエッジ隣接です。PPしてU-permを出すとかもありますが、最も主流なのがR U R' U [PP1] U R U' R' です。
しかし、U2 (Rw U r' U') (Rw' U' Rw U) (Rw U' Rw' U') r' U (Rw U R' U' R')という技あり手順が存在します。手数換算すると15手と19手なのに競争してみたらこれが勝てない(誰相手とは言いませんがMr.全種目だけ言っておきましょう)。まあ15手とは言ってもr2やらU2乱発するしなあ…筆者はこの現実を受け入れてようやく重い腰を上げて覚えることにしたのでした。
左はR U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' U [PP] 、右は[PP] U2 R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' 。
手っ取り早く言うとJb-perm [PP]と[PP] Jb-permとなります。まあこれだけでもいいんですが…ここでは僕の取り入れている概念を一つ紹介します。
これは右側の[PP] Jb-perm なんですが…画像のような位置関係で上記の手順を回すとPPの最後のUw2 U2してJbの開始面を持ってきた上で最後にAUFのために追加のU2を回すことになります。無駄が多すぎる。
キャンセルしましょう。 このパターンの基本形は、 [r2 U2 r2 Uw2 r2] R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' (Uw2)となります。
ちなみにr2をRw2 R2'的に回す人のためのさらなるキャンセルはここで見てください。僕はこう回しています。まあ R2' RをR'にするだけですが。
「PLLの途中で二段目を揃える必要が無ければ後回しにしろ」
これも覚えておきましょう。細かい話ではありますが取り入れないより確実に速くなる概念なら取り入れた方がいいですよね?
ちなみに最後のAUFがU2となる場合は前述の通り Uw2 U2 (中略)U2 が最後のUw2だけになるので2手得ですがU(U')の場合はUw2 U2(中略) U(U') が最後のUw2 U'(U)となるので一手得、AUFが無い場合はUw2 U2するタイミングが変わるだけなので手得はありません。つまりPP終わりのUw2をする前にJbを回しておけば間違いが無いというわけです。
※この概念はKUbersの先輩であるわさびさんから教わったアイデアが全ての起源となっています。どうもありがとうございました。
コーナーが揃っている残り三つです。最初の二つはエッジが全て反時計、または時計回りにずれています(O-permというらしい) 。そして最後の一つは対面色が隣接しています(W-permというらしい)。
O-permはどこからPPを回してもZ-permが残ります。 そしてW-permはどこからPPを回してもU-permが残ります。
おわり。
え、ダメ?
仕方ないな…
O-permにPPを回すと必ずZ-permが出現するのですが逆も然りで、Z-permを回すと必ずPPが出現します。「そっちの方が判断しやすい」とのことですがPPの途中でZ-permの開始位置も判断しやすいしやる必要無くね…?とも思います。
ちなみにそれぞれには専用手順
F R U R' U' F' [PP1] R' U' F R' F' R U R
R' U' R' F R F' U R [PP1] F U R U' R' F'
などがあります。(4のM列が回せなかった頃の化石手順なのでいらない)
W-permには全く別の専用手順が存在します。
R' U R' U' R' U' R' U R U' Uw2 r2 Uw2 r2 U2 Rw2
これも某人(明言はしませんがMr.全種目とだけ言っておきましょう)が回している動画が妙に速かったので実装を検討中です。
以上より、コーナーが揃っている場合は基本的にPPを回していれば問題無し(長々と解説した意味よ)で、よっぽど練習してOなのかWなのか即座に判別できるようになれば先にZ-permを回してみたり専用手順を使ってみたりするのがいいと思います。生半可な練習ではお釣りが来ないような気がしますが。
というわけで判断してみましょう。
対面色エッジが隣接しているのでW-permです。つまりどこからPPを回してもU-permが出現します。
では前述のテクニック同様、PPのUw2手前まで回してみましょう。
裏U-permを覚えていなければUw2 U2 U-perm U2となる形ですね。なんともったいない!さあ今のうちにU-permを回してからUw2しましょう!二手お得ですね!!
………………………………………………………ん?
センターが死んだ。
そう、U-permはJ-permとは違い、センターパーツが回転するクソ仕様となっています。(お土産の絵が描かれたキューブとかはそれを利用してセンター合わせしたりする)
つまり無駄を回避するには裏U-permを覚えるしかないのです。手順を覚えるのが大嫌いな僕がかなり早い段階で裏U-permを覚えていたのはこのためです。
投げるだけ投げとこ。
裏Ua: R2 U' R' U' R U R U R U' R
裏Ub: R' U R' U' R' U' R' U R U R2
(僕が使ってるやつ)
他にもいくらでもあります。一つ覚えましょう。
PPのセットアップ途中にPLLを回す概念を教えた瞬間にそれを適応させてはいけないPLLを教える。なんというマッチポンプ。(ただの親切とも言う)
さむぶろぐは4×4を速くしたい全ての読者を応援しています。ほんとだよ。
続いては1×3ラインが平行に存在するパターンです(B-permとかいうらしい)。
これはそれぞれ[PP] Ja-permと[PP] Jb-perm です。よく見ると(よく見なくても)点対称ではないので自分の開始面に合わせた位置からPPを回しましょう、もしくは開始面を読んでノータイムでPLL移行できるようにしましょう。J-permも(すんごい変なのでもない限りは)センター回転はしないのでどのタイミングで回しても良いです。
ちなみに一つ目には U R U R' U' R 'F R2 U' R' [PP] U R U R' F' という手順があります。T-permのFLスロットをFRに入れたところでPPを挟み込むシステムになっています。いやできねーよCubeSkillsさんよ。
次は1×3ラインが存在せずheadlightは存在する3パターン。headlightをLもしくはR面に持って来てPPでRa-perm、Rb-perm、T-permが出現します。それぞれPLLを回してからでないと手損が生まれる場合がありそうですが前述のPPのUw2終了前PLLで問題ありません。RとTもセンターが回転しないので心配御無用。
また、一つ目はU' Rb-perm [PP]というのもあり、Rb-perm R' U2 R U2 R' F R U R' U' R' F' R2 の最後のR2とPPの初手のr2がキャンセルされて R' U2 R U2 R' F R U R' U' R' F' Rw2 U2 r2 Uw2 r2 Uw2と回すことができます。判断難しい。
ちなみにPPを回す位置を間違えるとG-permとF-permが出て来ます。
PP-G-permやPP-F-permは正しい位置から回せば出て来ません。(他にPP-H-permとかも出てこない)(当たり前)
RよりGが好きな方とかは好きにしてください。
続いては1×3ラインが垂直でなおかつ対面色の二つ。この二つはこの向きからのPPでR-permが出てきます。さっきの勢いでheadlightをLR面に持ってきてPPを回したいところですがすでにこのパターンはR-permの骨格ができてるんですよね。LRに持ってきて回すと反対側のラインとheadlightが残るのでG-permが出てきてしまうのは読みやすいと思います。
二つ目にはU Jb-perm [PP] という手順もあります。判断に自信があれば使ってみてください。
次の二つは1×3ラインが対面色ではないパターン。R-permの骨格もありません。
この二つはどこから回してもA-permが出現します。開始面の見分け方としてはA-permが出現する際、どこかに必ず3×3(っぽいもの)が出てくるということ。なにを言っているか分からない?ほら、このへんに3×3が見えるでしょ…?
コホン、とにかく、A-permが出てくる=この3×3が出てくるということであり、あとはheadlightの位置は動かないのでどこ向きのA-permが出てくるか読めるというわけですね。(ほんまか?)
残りは対角4つ。そのうち二つは1×3ラインが二つ存在しています。
さっきの約束されたA-permとは見分けがつきにくいのですが、headlightが無いということは対角PLL確定です。(PPはコーナーが動かないので)
さて、先にPPを回すとV-permもしくはY-permが出現します(先述のA-permの時の3×3が出てくる向きで回すとV-perm、そうでなければY-perm)が…皆さん、いつでもY-perm回したいですよね?
そんなあなたにオススメなのがこちら!!!!
(なんやこれ)
上図のように1×3ラインがR面とF面に来る向きにして先にY-permを回すだけ!たったこれだけで単独PPが残ります。(有名ですかね?まあ知らない人もいるかもしれないので許してください)
これ、2側面判断でコーナーを見たら対角PLLっていうのは分かりやすいのであとは何も考えずに1×3をRとFに持ってきてY-permを回せばいいというわけですね。とっても便利。
さあ最後の二つ。
何が違うねん。
いや、気持ちはすごくわかります。でも良く見たら違うんですよ。
まずは赤のコーナーパーツに着目してください。FRUパーツとBRUパーツにありますよね。
次に赤エッジパーツ。こちらはLUパーツとRUパーツ。
ほら〜〜(何もほらではない)違うでしょ??
さて、左側のように赤(だけではなく全色ですが)のコーナーとエッジが遠くにあるパターン(僕個人では「すっごいバラバラなやつ」と呼んでいる)はQ-permとも呼ばれていて、完バラ(に見える)PLLの中ではまだ良心的な方です。
手順はF R U' R' U' R U R' F' [PP1] U2 R U R' U' R' F R F' です。Y-permの途中でPPを挟み込むアレです。(ただし今回はOLLを縦にはしない)
一方で右側、X-permは出したら負けです。先にPPを回せば必ずE-perm、Y-permを回すとW-permが出てきます。有効なセットアップも皆無。人類が太刀打ちする術は何一つありません。
ではX-permの一つだけ良いところを挙げます。それはどこからE-permを回しても正面向きにPPが出現するということです。E-permを間違えた向きから回すとH-permが出てきますよね?それをPP二つの組み合わせと見るとそのうちの片方がすでに処理されていると捉えられるからです。まあこんな良いところなんて「殺人鬼がそんなに痛くない方法で殺してくれた」ぐらいの嬉しさしかないですが…先にPP回すよりかは良いんじゃないですかね。(実はこれも同じ向きでE-perm回せばいいだけなので関係無いと言っちゃあ無い)
ではここで僕が5以上の多分割で必ず使用しているE-permを紹介します。セクシー三回の化石手順じゃないですよ。
R U R' U R' U' R F' R U R' U' R' F R2 U' R2 U R U'
Na的セットアップを裏のスロットでも行ってJbっぽいのを回すというalgdbにもどこにも載っていない謎手順です。4でも使うかは個人の自由です。
ちなみに、Q-permは知識が無い人がただ単にPPを回すとE-permが出てきて時間が取られるのに対し、X-permは最適手順がPPとE-permを回すというだけなのでそういう意味ではX-permの方が平等といえるかもしれないですね。(X-permが「死」でQ-permが「富」みたいなもんですか?)
僕は割と最近までこのバラバラシリーズが出たら無条件で多分割E-permを回してたんですがそんなに悪くないと思います。Qなら U [PP]、XならPPのみが残ります。
以上でPP-PLL22パターンの説明は終わりです。皆さんお疲れ様でした。4は最後の最後まで工夫の余地がある楽しい競技ですのでやるならとことんやるのも悪くないですよね。それではまた来年(書くことがあれば)お会いしましょう、さようなら〜
と、ここで制作裏話。
当然画像表示をU面緑に統一するべきなんだけど、それに思い至る前にU面黄色で結構な量の画像生成しちゃってて、直すのめんどくさすぎた。3Dのやつは後から追加したから青クロス仕様だけど全体の構成として二年目(去年の)だけ青クロス仕様とかいうアンバランス極まりない結果となったのは悲しい。来年まだなんか書くことがあれば青クロスにするか〜
んでこの敵に塩を送るだけ送って自分にはなんらメリットのない記事ね(本気で内緒にしたいと思った手順もあった)。確かに文章を書くのが好きなのは事実だけど画像生成と添付はただただ地獄。二つの記事合わせて110枚の画像あるらしいよ。バカかな?まさか8年前、しゅうむらさんの薄い本(もうちょっと言い方は無かったのか)に書かれていたOLL一覧表を見て「暗黒通信団の円周率本みたいなやつだよね」とか言いながら覚えることを放棄した自分がこんなめんどいことをするとは夢にも思わなかったとさ。
そんで海外の有名なキューバーが上げたこの動画よ。記事書いてる真っ最中にこんなのが上がるからキレそうだったわ。まあこの記事の方が詳しいけど。
割と昔に作られたこんなサイトもあるんだけど率直に言うと不要な手順が多いのでこの記事読めば問題ありません。
ちなみにタイトルの元ネタはファミ通の攻略本です。
もっと速くなりたい方は一緒にすがまさんの記事の続きを待ちましょう。ずっと待ってます。届いてこの想い。
※公開前に数えきれない指摘をしていただいたうえしゅうさん、そして世界初の読者であるまっしゅにこの場を借りて深く感謝します。どうもありがとうございました。
そんな私は去年のアドカレに「来年の目標はSub35」と書いておりましたが修練不足で達成できませんでした。お許しください。(たぶん3公式平均を1年2ヶ月更新していないことに理由があるのでしょう)
この記事はルービックキューブ Advent Calendar 2018 の21日目の記事として書かれたものです。明日の記事はRock menの超新星、masadl君のZBLLについての記事の予定です。
さて4のPLL。それは天国と地獄の分かれ道。いかに分析を行って上手いことセンターを揃えようともPPはそれを嘲笑うかのように現れる。我々は被害を最小限に食い止めるためにPP-PLLへの対策を講じなければならない!!!
(OP-OLLで精根尽き果てたのでこんなテンションじゃないと続ける気力が湧かない)
さて、 PP-PLLで大切なこと、それは何より手数の少なさと判断の早さ。「3に存在しないPLLだからとりあえずPP回しとこw」なーんてテンションでは速い人に大きく水をあけられてしまいます。
そんなPP存在PLLは単独PPを含めて22パターン。
大した数ではないのでこれを機に全て洗い直してみましょう。
それでは判断が簡単なのから行ってみよう!
まずは一応PP手順のおさらいから。
[PP1]: r2 U2 r2 Uw2 r2 Uw2 (最後AUFでU2する場合もある)(というか始めにコーナー揃っている場合はU2する)
[PP2]: Rw2 F2 U2 r2 U2 F2 Rw2(2019/8/15追記: 人差し指をハチに刺されて痛過ぎる時はこっちを使いましょう。こないだのCCKで初めて公式の4でこれ回した。)
[PP3]: Uw2 Rw2 U2 r2 U2 Rw2 Uw2
4の世界上位者でPP3を使ってるのはSebastian Weyerぐらいじゃないですかね?ちなみにr2を一回しか回さなくて良いので6のPPにはPP2と並んで重宝されます。
でも最近のFazやMaxは平気で6でPP1使ってますね…。なんで6層ある物体の2層だけを回すとかいう技巧をこなしてるくせに僕の4のr2より速いわけ?
で、PP1のr2は3のM2的に回す派(FazやMax)とRw'2 R2と回す派(スンヒョやBill Wang)が存在しています。やっぱりM2系は速い!でも安定しない。磁石が付いたとはいえまだまだかなりの人がRw2派です。
そんな前置きはこのくらいにして見分けの付きやすいのから行きましょう。
コーナー単独隣接交換です。これは基本的にT-perm U(U') [PP] の順番にしましょう。その大きな理由はAUFにあります。大抵の人はheadlightがL面に無ければT-permを回せません。つまり先にPPを回してしまうとそうして完成されたT-permは一方向からしか回せなくなります。ということは?最後のAUFでU2をしなければいけない場合が出現するのです。一方、PPはU2の位置からでも回すことができるので先にT-permを回して最後にPPを残すとAUFでU2する場合が無くなります。(間違えた場合は合計でU3とかU4回さないといけなくなるけどそんなのは僕の知ったことではない)
「どっちでも同じならPPを後に残せ」
この概念は後々にも出てくるので覚えておきましょう。
正面向きでPPを回してF-permを出していたという方、いないとは思いますが万が一いれば猛省してくださいね。
次は単独対角交換です。
これはF R U' R' U' R U R' F' U(U') [PP] U'(U) R U R' U' R' F R F'です。
Y-perm前半OLLして、縦向きにしてPP、戻して後半OLL、要はY-permにPPを挟み込む形になっています。
ちなみに[PP] Na-permとかいうなんの捻りもない手順を使っているトップ選手もいます。まあFeliks Zemdegsって言うんですけど。悪夢のように速い。最初に紹介した方は意外とAUFめんどくさかったりする事もあるのでものすごく大きな差が出るというわけでもなさそうです。
続いてエッジ隣接です。PPしてU-permを出すとかもありますが、最も主流なのがR U R' U [PP1] U R U' R' です。
しかし、U2 (Rw U r' U') (Rw' U' Rw U) (Rw U' Rw' U') r' U (Rw U R' U' R')という技あり手順が存在します。手数換算すると15手と19手なのに競争してみたらこれが勝てない(誰相手とは言いませんがMr.全種目だけ言っておきましょう)。まあ15手とは言ってもr2やらU2乱発するしなあ…筆者はこの現実を受け入れてようやく重い腰を上げて覚えることにしたのでした。
左はR U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' U [PP] 、右は[PP] U2 R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' 。
手っ取り早く言うとJb-perm [PP]と[PP] Jb-permとなります。まあこれだけでもいいんですが…ここでは僕の取り入れている概念を一つ紹介します。
これは右側の[PP] Jb-perm なんですが…画像のような位置関係で上記の手順を回すとPPの最後のUw2 U2してJbの開始面を持ってきた上で最後にAUFのために追加のU2を回すことになります。無駄が多すぎる。
キャンセルしましょう。 このパターンの基本形は、 [r2 U2 r2 Uw2 r2] R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' (Uw2)となります。
ちなみにr2をRw2 R2'的に回す人のためのさらなるキャンセルはここで見てください。僕はこう回しています。まあ R2' RをR'にするだけですが。
「PLLの途中で二段目を揃える必要が無ければ後回しにしろ」
これも覚えておきましょう。細かい話ではありますが取り入れないより確実に速くなる概念なら取り入れた方がいいですよね?
ちなみに最後のAUFがU2となる場合は前述の通り Uw2 U2 (中略)U2 が最後のUw2だけになるので2手得ですがU(U')の場合はUw2 U2(中略) U(U') が最後のUw2 U'(U)となるので一手得、AUFが無い場合はUw2 U2するタイミングが変わるだけなので手得はありません。つまりPP終わりのUw2をする前にJbを回しておけば間違いが無いというわけです。
※この概念はKUbersの先輩であるわさびさんから教わったアイデアが全ての起源となっています。どうもありがとうございました。
コーナーが揃っている残り三つです。最初の二つはエッジが全て反時計、または時計回りにずれています(O-permというらしい) 。そして最後の一つは対面色が隣接しています(W-permというらしい)。
O-permはどこからPPを回してもZ-permが残ります。 そしてW-permはどこからPPを回してもU-permが残ります。
おわり。
え、ダメ?
仕方ないな…
O-permにPPを回すと必ずZ-permが出現するのですが逆も然りで、Z-permを回すと必ずPPが出現します。「そっちの方が判断しやすい」とのことですがPPの途中でZ-permの開始位置も判断しやすいしやる必要無くね…?とも思います。
ちなみにそれぞれには専用手順
F R U R' U' F' [PP1] R' U' F R' F' R U R
R' U' R' F R F' U R [PP1] F U R U' R' F'
などがあります。(4のM列が回せなかった頃の化石手順なのでいらない)
W-permには全く別の専用手順が存在します。
R' U R' U' R' U' R' U R U' Uw2 r2 Uw2 r2 U2 Rw2
これも某人(明言はしませんがMr.全種目とだけ言っておきましょう)が回している動画が妙に速かったので実装を検討中です。
以上より、コーナーが揃っている場合は基本的にPPを回していれば問題無し(長々と解説した意味よ)で、よっぽど練習してOなのかWなのか即座に判別できるようになれば先にZ-permを回してみたり専用手順を使ってみたりするのがいいと思います。生半可な練習ではお釣りが来ないような気がしますが。
というわけで判断してみましょう。
対面色エッジが隣接しているのでW-permです。つまりどこからPPを回してもU-permが出現します。
では前述のテクニック同様、PPのUw2手前まで回してみましょう。
裏U-permを覚えていなければUw2 U2 U-perm U2となる形ですね。なんともったいない!さあ今のうちにU-permを回してからUw2しましょう!二手お得ですね!!
………………………………………………………ん?
センターが死んだ。
そう、U-permはJ-permとは違い、センターパーツが回転する
つまり無駄を回避するには裏U-permを覚えるしかないのです。手順を覚えるのが大嫌いな僕がかなり早い段階で裏U-permを覚えていたのはこのためです。
投げるだけ投げとこ。
裏Ua: R2 U' R' U' R U R U R U' R
裏Ub: R' U R' U' R' U' R' U R U R2
(僕が使ってるやつ)
他にもいくらでもあります。一つ覚えましょう。
PPのセットアップ途中にPLLを回す概念を教えた瞬間にそれを適応させてはいけないPLLを教える。なんというマッチポンプ。(ただの親切とも言う)
さむぶろぐは4×4を速くしたい全ての読者を応援しています。ほんとだよ。
続いては1×3ラインが平行に存在するパターンです(B-permとかいうらしい)。
これはそれぞれ[PP] Ja-permと[PP] Jb-perm です。よく見ると(よく見なくても)点対称ではないので自分の開始面に合わせた位置からPPを回しましょう、もしくは開始面を読んでノータイムでPLL移行できるようにしましょう。J-permも(すんごい変なのでもない限りは)センター回転はしないのでどのタイミングで回しても良いです。
ちなみに一つ目には U R U R' U' R 'F R2 U' R' [PP] U R U R' F' という手順があります。T-permのFLスロットをFRに入れたところでPPを挟み込むシステムになっています。
次は1×3ラインが存在せずheadlightは存在する3パターン。headlightをLもしくはR面に持って来てPPでRa-perm、Rb-perm、T-permが出現します。それぞれPLLを回してからでないと手損が生まれる場合がありそうですが前述のPPのUw2終了前PLLで問題ありません。RとTもセンターが回転しないので心配御無用。
また、一つ目はU' Rb-perm [PP]というのもあり、Rb-perm R' U2 R U2 R' F R U R' U' R' F' R2 の最後のR2とPPの初手のr2がキャンセルされて R' U2 R U2 R' F R U R' U' R' F' Rw2 U2 r2 Uw2 r2 Uw2と回すことができます。判断難しい。
ちなみにPPを回す位置を間違えるとG-permとF-permが出て来ます。
PP-G-permやPP-F-permは正しい位置から回せば出て来ません。(他にPP-H-permとかも出てこない)(当たり前)
RよりGが好きな方とかは好きにしてください。
続いては1×3ラインが垂直でなおかつ対面色の二つ。この二つはこの向きからのPPでR-permが出てきます。さっきの勢いでheadlightをLR面に持ってきてPPを回したいところですがすでにこのパターンはR-permの骨格ができてるんですよね。LRに持ってきて回すと反対側のラインとheadlightが残るのでG-permが出てきてしまうのは読みやすいと思います。
二つ目にはU Jb-perm [PP] という手順もあります。判断に自信があれば使ってみてください。
次の二つは1×3ラインが対面色ではないパターン。R-permの骨格もありません。
この二つはどこから回してもA-permが出現します。開始面の見分け方としてはA-permが出現する際、どこかに必ず3×3(っぽいもの)が出てくるということ。なにを言っているか分からない?ほら、このへんに3×3が見えるでしょ…?
コホン、とにかく、A-permが出てくる=この3×3が出てくるということであり、あとはheadlightの位置は動かないのでどこ向きのA-permが出てくるか読めるというわけですね。(ほんまか?)
残りは対角4つ。そのうち二つは1×3ラインが二つ存在しています。
さっきの約束されたA-permとは見分けがつきにくいのですが、headlightが無いということは対角PLL確定です。(PPはコーナーが動かないので)
さて、先にPPを回すとV-permもしくはY-permが出現します(先述のA-permの時の3×3が出てくる向きで回すとV-perm、そうでなければY-perm)が…皆さん、いつでもY-perm回したいですよね?
そんなあなたにオススメなのがこちら!!!!
(なんやこれ)
上図のように1×3ラインがR面とF面に来る向きにして先にY-permを回すだけ!たったこれだけで単独PPが残ります。(有名ですかね?まあ知らない人もいるかもしれないので許してください)
これ、2側面判断でコーナーを見たら対角PLLっていうのは分かりやすいのであとは何も考えずに1×3をRとFに持ってきてY-permを回せばいいというわけですね。とっても便利。
さあ最後の二つ。
何が違うねん。
いや、気持ちはすごくわかります。でも良く見たら違うんですよ。
まずは赤のコーナーパーツに着目してください。FRUパーツとBRUパーツにありますよね。
次に赤エッジパーツ。こちらはLUパーツとRUパーツ。
ほら〜〜(何もほらではない)違うでしょ??
さて、左側のように赤(だけではなく全色ですが)のコーナーとエッジが遠くにあるパターン(僕個人では「すっごいバラバラなやつ」と呼んでいる)はQ-permとも呼ばれていて、完バラ(に見える)PLLの中ではまだ良心的な方です。
手順はF R U' R' U' R U R' F' [PP1] U2 R U R' U' R' F R F' です。Y-permの途中でPPを挟み込むアレです。(ただし今回はOLLを縦にはしない)
一方で右側、X-permは出したら負けです。先にPPを回せば必ずE-perm、Y-permを回すとW-permが出てきます。有効なセットアップも皆無。人類が太刀打ちする術は何一つありません。
ではX-permの一つだけ良いところを挙げます。それはどこからE-permを回しても正面向きにPPが出現するということです。E-permを間違えた向きから回すとH-permが出てきますよね?それをPP二つの組み合わせと見るとそのうちの片方がすでに処理されていると捉えられるからです。まあこんな良いところなんて「殺人鬼がそんなに痛くない方法で殺してくれた」ぐらいの嬉しさしかないですが…先にPP回すよりかは良いんじゃないですかね。(実はこれも同じ向きでE-perm回せばいいだけなので関係無いと言っちゃあ無い)
ではここで僕が5以上の多分割で必ず使用しているE-permを紹介します。セクシー三回の化石手順じゃないですよ。
R U R' U R' U' R F' R U R' U' R' F R2 U' R2 U R U'
Na的セットアップを裏のスロットでも行ってJbっぽいのを回すというalgdbにもどこにも載っていない謎手順です。4でも使うかは個人の自由です。
ちなみに、Q-permは知識が無い人がただ単にPPを回すとE-permが出てきて時間が取られるのに対し、X-permは最適手順がPPとE-permを回すというだけなのでそういう意味ではX-permの方が平等といえるかもしれないですね。(X-permが「死」でQ-permが「富」みたいなもんですか?)
僕は割と最近までこのバラバラシリーズが出たら無条件で多分割E-permを回してたんですがそんなに悪くないと思います。Qなら U [PP]、XならPPのみが残ります。
以上でPP-PLL22パターンの説明は終わりです。皆さんお疲れ様でした。4は最後の最後まで工夫の余地がある楽しい競技ですのでやるならとことんやるのも悪くないですよね。それではまた来年(書くことがあれば)お会いしましょう、さようなら〜
と、ここで制作裏話。
当然画像表示をU面緑に統一するべきなんだけど、それに思い至る前にU面黄色で結構な量の画像生成しちゃってて、直すのめんどくさすぎた。3Dのやつは後から追加したから青クロス仕様だけど全体の構成として二年目(去年の)だけ青クロス仕様とかいうアンバランス極まりない結果となったのは悲しい。来年まだなんか書くことがあれば青クロスにするか〜
んでこの敵に塩を送るだけ送って自分にはなんらメリットのない記事ね(本気で内緒にしたいと思った手順もあった)。確かに文章を書くのが好きなのは事実だけど画像生成と添付はただただ地獄。二つの記事合わせて110枚の画像あるらしいよ。バカかな?まさか8年前、しゅうむらさんの薄い本(もうちょっと言い方は無かったのか)に書かれていたOLL一覧表を見て「暗黒通信団の円周率本みたいなやつだよね」とか言いながら覚えることを放棄した自分がこんなめんどいことをするとは夢にも思わなかったとさ。
そんで海外の有名なキューバーが上げたこの動画よ。記事書いてる真っ最中にこんなのが上がるからキレそうだったわ。まあこの記事の方が詳しいけど。
割と昔に作られたこんなサイトもあるんだけど率直に言うと不要な手順が多いのでこの記事読めば問題ありません。
ちなみにタイトルの元ネタはファミ通の攻略本です。
もっと速くなりたい方は一緒にすがまさんの記事の続きを待ちましょう。ずっと待ってます。届いてこの想い。
※公開前に数えきれない指摘をしていただいたうえしゅうさん、そして世界初の読者であるまっしゅにこの場を借りて深く感謝します。どうもありがとうございました。
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